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2017年4月13日 太陽系外縁部に潜む小天体をアルマ望遠鏡が捉えた

アルマ望遠鏡が、太陽系の外縁部を回る天体の一つ 2014 UZ224を捉えました。この天体は、太陽から現在の冥王星までの距離のおよそ3倍のところに位置しており、軌道が明らかになっているものとしては準惑星エリスに次いで2番目に遠い太陽系外縁天体です。太陽系の外縁部には、こうした氷の天体が何万個も回っていると考えられています。

アルマ望遠鏡による観測の結果、2014 UZ224の大きさがおよそ635kmであることが明らかになりました。これは、火星と木星の間の小惑星帯に存在する最大の天体、準惑星セレスの2/3ほどの大きさに相当します。これくらいの大きさがあれば、2014 UZ224は球形をしている可能性が高いと考えられます。これは、2014 UZ224が準惑星として認められる可能性があるということです。[1]


【画像1】 アルマ望遠鏡が観測した2014 UZ224。太陽からの距離が冥王星より3倍遠いため、アルマ望遠鏡でもぼんやりとしか撮影することができません。
Credit: NRAO/AUI/NSF


【画像2】 アメリカと月、冥王星、2014 UZ224 の大きさ比較。
Credit: Alexandra Angelich (NRAO/AUI/NSF)

「冥王星よりも遠い領域にも、天体はたくさんあるのです。とても小さい天体もありますが、冥王星と同じくらいの大きさを持つ天体もあります。もしかしたら、ずっと大きな天体も潜んでいるかもしれません」と、ミシガン大学の研究者で今回の研究論文の筆頭著者であるデービッド・ゲルデス氏は語っています。「この天体はとても遠くにあって暗いため、その光を捉えるだけでも大変難しいのです。しかしアルマ望遠鏡は、そのたぐいまれな能力を活かして、この遠い世界を詳しく見せてくれたのです。」

現在2014 UZ224は、太陽から92天文単位の場所にあります。天文単位とは、地球と太陽の間の平均距離で、約1億5000万kmに相当します。非常に遠くを回っているため、太陽のまわりを1周するのに1100年以上かかります。また、2014 UZ224から出た光が地球に届くまで、13時間近くもかかります。


【画像3】 太陽系天体の軌道図。2014 UZ224 は非常に遠いところを回っていることがわかります。
Credit: Alexandra Angelich (NRAO/AUI/NSF)

ゲルデス氏と研究チームは、2014 UZ224の発見を2016年秋に発表しました。彼らはチリのセロ・トロロ汎米天文台にある口径4mのブランコ望遠鏡でこの天体を発見しました。それは全天の14%を観測し、宇宙の加速膨張を引き起こしているとされる「ダークエネルギー」の性質を明らかにしようとする「ダークエネルギー・サーベイ」の副産物でした。

ダークエネルギー・サーベイで生み出される膨大な天体画像は、太陽系外縁の天体を探すのにも有用だったのです。およそ15,000枚の画像を使った初期調査では、11億個の天体が写っていました。そのうちのほとんどは普通の星や銀河でしたが、異なる時刻に撮影された画像の中を動いていく天体があれば、それは太陽系外縁天体の可能性があります。

2014 UZ224は、12枚の連続した画像に写りこんでいました。研究者たちは、遠方の小天体(Distant Dwarf)の頭文字を取って、非公式なニックネーム「ディーディー」と呼んでいます。

ブランコ望遠鏡で撮影された可視光画像から、2014 UZ224の距離と軌道の情報が得られます。しかし、サイズやその他の性質を明らかにすることはできませんでした。点像にしか見えない可視光の観測だけでは、表面の反射率の高い小さな天体であるのか、反射率の低い大きな天体であるのかの区別がつかないのです。

一方で、太陽系外縁天体から放たれる電波(特にミリ波・サブミリ波)の強さは、温度と天体の大きさを反映します。太陽から天体までの距離がわかれば温度は推定できるので、ミリ波の強度から天体の大きさを計算することができるのです。「私たちは、2014 UZ224の温度はわずか絶対温度30度くらい(およそ摂氏マイナス240度)と推定しています」とゲルデス氏は語っています。

2014 UZ224の光は、ろうそくの光を20万km(地球から月までの距離の約半分)離れて見た程度の明るさしかありませんが、アルマ望遠鏡は2014 UZ224が放つミリ波をはっきりと捉え、強度を測定することに成功しました。そして可視光のデータと比較することで、その大きさを計算することができたのです。「アルマ望遠鏡を使えば、比較的容易に2014 UZ224からのミリ波を捉えることができました。これによって、可視光だけではわからなかった大きさの情報を手に入れることができたのです。」

大きさが推定できたので、可視光の強さをもとに2014 UZ224の表面の反射率が13%ほどであることもわかりました。これは、野球のグラウンドの内野部分にあるような黒っぽい土と同じくらいです。

2014 UZ224のような小天体は、太陽系ができたときの名残といえます。その軌道や天体自体の性質は、太陽系の誕生の様子を探る手がかりになります。

今回の成果は、太陽系外縁部をゆっくり移動する小さな天体の発見の好例です。研究者たちは、エリスや2014 UZ224より外側に存在するかもしれない「第9惑星」の発見も、同じ方法で可能かもしれないと考えています。ゲルデス氏は、「太陽系の外縁部には、まだまだ未知の世界が広がっています。太陽系というのは、豊かで複雑な場所なのです。」とコメントしています。

[1] 2006年に国際天文学連合が定めた「太陽系の惑星の定義」によれば、(1)太陽のまわりを回っている、(2) 十分な質量があるために球形をしている、(3)その軌道上から他の天体を一掃している、の3つを満たす天体を「惑星」と呼びます。一方、(1)と(2)だけを満たす天体は「準惑星」と呼ばれます。2014 UZ224の場合、(2)を満たすことが確認されれば、準惑星として認められることになります。

論文

この研究成果は、Gerdes et al. "Discovery and physical characterization of a large scattered disk object at 92 AU"として、アメリカの天文学専門誌『アストロフィジカル・ジャーナル・レターズ』に掲載されます。

【画像4】 太陽系外縁天体2014 UZ224 の想像図。アルマ望遠鏡は、この天体が放つミリ波を捉え、天体のサイズが約635kmであることを明らかにしました。
Credit: Alexandra Angelich (NRAO/AUI/NSF)

太陽系外縁部に潜む小天体をアルマ望遠鏡が捉えた

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