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2014年9月29日 枝分かれした有機分子をアルマ望遠鏡が発見

ドイツ・マックスプランク電波天文学研究所のアーノルド・ベローチェ氏が率いる国際研究チームは、アルマ望遠鏡を用いて星間空間に新たな有機分子を検出しました。この分子はイソプロピルシアニド(i-C3H7CN)と呼ばれる分子で、既に星間空間に大量に存在することが知られていた分子(プロピルシアニド)の異性体(同じ数・同じ種類の原子からできているが構造が異なる分子)です。

プロピルシアニドとイソプロピルシアニドの大きな違いは、この分子の「背骨」にあたる炭素原子の並び方です。プロピルシアニドでは炭素が一直線に並んでいますが、今回発見されたイソプロピルシアニドはこの「背骨」が枝分かれしています。今回の発見は、こうした「枝分かれした炭素の背骨」を持つ有機分子が宇宙に豊富に存在していることを示すものとして注目されます。

今回の観測では、イソプロピルシアニドの存在量はプロピルシアニドの存在量の半分程度であることがわかりました。「イソプロピルシアニドがこれほどたくさんあることは、枝分かれした分子が例外的に存在するのではなく、非常にありふれたものであるということを示しているのかもしれません。」とコーネル大学の宇宙化学研究者ロビン・ギャロッド氏は語っています。

こうした分子は、星間空間に漂う塵(固体微粒子)の表面を覆う薄い氷の層の中かその上で作られると考えられています。「星間空間で枝分かれした分子が豊富に作られているということは、タンパク質のもとになるアミノ酸が作られる可能性も高いと考えられます。」と、研究チームを率いるベローチェ氏は語ります。「枝分かれ構造はアミノ酸に特徴的にみられるものであり、隕石の中から見つかっているアミノ酸にも枝分かれ構造を持っているものが豊富に含まれています。」

合同アルマ観測所の天文学者ステファン・レオン氏は、「今回の発見の鍵は、アルマ望遠鏡の高い感度でした。他の望遠鏡なら観測に何日もかかってしまうでしょうが、アルマ望遠鏡なら数分でこの分子からの微弱な電波をとらえることができたのです。」と語っています。「今回の発見は星間化学や宇宙における物質進化を考える基礎になるものであり、アルマ望遠鏡が天文学の進歩に確かに貢献しているという証でもあります。生命の元になるような元素も、きっと見つけることができるでしょう。アルマ望遠鏡の未来は明るいと、私は確信しています。」

この研究成果は、アメリカの科学雑誌「サイエンス」2014年9月26日号に掲載されました。

下図は、波長860マイクロメートルの電波で見た天の川銀河の中心領域です。今回観測対象となったのは天の川銀河の中心「いて座A*」から300光年離れたところにある巨大な星形成領域「いて座B2」で、枝分かれした構造を持つ有機分子イソプロピルシアニド(i-C3H7CN、左)とプロピルシアニド(n-C3H7CN、右)の両方から放たれる電波が、「いて座B2」で検出されました。
Credits: MPIfR/A. Weiß, University of Cologne/M. Koerber, MPIfR/A. Belloche.

枝分かれした有機分子をアルマ望遠鏡が発見

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