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2012年6月01日 アルマ望遠鏡で見た活動銀河ケンタウルスA

アルマ望遠鏡が、これまでにない感度と解像度で活動銀河ケンタウルスAの中心部を撮影し、大量の塵の帯に隠された銀河の奥深くを詳しく写し出すことに成功しました。アルマ望遠鏡は現在建設と並行して初期科学運用を行っていますが、既に世界最高の電波干渉計としての能力を見せています。5月31日、合同アルマ観測所は次の観測シーズン(サイクル1)に向けた観測提案の公募を開始しました。2013年1月から開始されるサイクル1では、アルマ望遠鏡の性能は大きく向上します。


巨大な楕円銀河ケンタウルスA [注1]は、強い電波を放射する「電波銀河」の中では最も地球に近い銀河です[注2]。ケンタウルスAはこれまでにも多くの望遠鏡で観測されており、その中心部には太陽のおよそ1億倍の質量をもつ超大質量ブラックホールが潜んでいると考えられています。

可視光でケンタウルスAを観測すると、その中心部にはとてもよく目立つ黒い帯が横たわっています。この黒い帯には大量のガスや塵、そして若い星が隠れています。ケンタウルスAは巨大な楕円銀河と小さな渦巻銀河とが衝突してできたものだと考えられていますが、飲み込まれてしまった小さな銀河の残骸がこの塵の帯を作っているのです。

この黒い帯の中を見通すために、天文学者は可視光よりも波長の長い電磁波、つまり赤外線や電波を観測します。アルマ望遠鏡を使った観測では、確かにこの黒い帯の内側を見通すことができました。

下の画像では、アルマ望遠鏡の観測結果が青色で示されています。ケンタウルスAに含まれるガスの分布がここまで高い解像度・感度で観測されたのはこれが初めてのことです。この観測では、アルマ望遠鏡は一酸化炭素(CO)分子が出す波長1.3 mmの電波を観測しました。CO分子を含むガスの雲がケンタウルスAの中を動いていくことで、CO分子が出す電波の波長にわずかなずれ(ドップラー効果[注3])が生じます。下の画像では、この波長のずれを色で表現しています。こちらに向かってくるように動いているガスは紫から暗い青色で、遠ざかるように動いているガスは明るい青色に色付けをしています。つまり、銀河の中心より左側にあるガスは近づいてくる方向に、右側にあるガスは遠ざかる方向に動いており、これは銀河の中をガスが回転していることを示しています。

アルマ望遠鏡の画像と合成されているのは、チリ・ラシーヤ天文台のMPG/ESO 2.2メートル望遠鏡の広視野カメラ(WFI)で50時間以上かけて撮影された可視光画像です。この画像には数千億の星が写っており、ケンタウルスAが全体として楕円銀河のような形をしていることがわかります。しかし他の楕円銀河とは違い、中央部には黒い帯がよく目立ちます。この黒い帯によって銀河の中心部は隠されていますが、電波を観測するアルマ望遠鏡であればその内部を調べることができます。このようにして、アルマ望遠鏡と他の望遠鏡を組み合わせることで、天体の様々な姿を明らかにすることができるのです。

チリ共和国北部・チャナントール高原に建設が進むアルマ望遠鏡は、2012年度中の本格観測開始を予定しており、2013年には全66台のアンテナが設置されます。既に全体の半分にあたる33台のアンテナが標高5000m地点に設置されています。2011年からは、その一部のアンテナを使った初期科学観測が開始されています。今回紹介したケンタウルスAの画像は、アルマ望遠鏡の科学評価データとして観測が行われたものです。

5月31日、アルマ望遠鏡の運用を行っている合同アルマ観測所は、次の観測シーズン(サイクル1)に向けた観測提案の公募を開始しました。サイクル1の期間は2013年1月から10月までと設定されており、昨年9月から実行されている初期科学運用サイクル0に比べて2倍以上の数のアンテナ(直径12mアンテナ32台からなる「12mアレイ」、日本が製造した7mアンテナ9台と12mアンテナ2台からなる「アタカマ・コンパクトアレイ」)を観測に使うことができます。アンテナ間隔も最大で約1kmまで拡大され、解像度はサイクル0に比べて2倍以上向上します。また、日本が建設を担当しているアタカマ・コンパクトアレイが追加されることにより、より高画質な電波写真の撮影が可能になります。

アルマ望遠鏡は、東アジア、北米、欧州がチリ共和国と協力して建設・運用する国際天文観測施設です。


[1] ケンタウルスA: この銀河はNGC5128とも呼ばれ、1826年8月4日にイギリスの天文学者ジェームズ・ダンロップにより発見されました。その後1950年代の観測によって、ケンタウルス座でもっとも電波が強い天体として検出されたことから「ケンタウルスA」という別名が付けられています。

[2] ケンタウルスAは、ケンタウルス座の方向およそ1200万光年の距離に位置しています。

[3] ドップラー効果: ドップラー効果は、波を出している源と観測者が相対的に動いている場合に、波の波長が延びたり縮んだりする現象です。宇宙にあるガスに含まれる分子が出す電波の波長は厳密にわかっているので、観測された電波の波長のずれから、ガスの動きについて調べることができます。

新しいウィンドウで開く 高解像度画像 5.82MB (TIFF)
Credit: ALMA (ESO/NAOJ/NRAO), T.A. Rector (University of Alaska Anchorage).
Visible-light image: ESO

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